- 今月の特集 -
 私たちが口にする食品が、いつ、どこで作られ、どのような経路で食卓までのぼったのか。食品の履歴を追跡、公開するトレーサビリティーの動きが活発化している。BSE(狂牛病)や食品ラベルの偽装、無登録農薬の使用など相次ぐ問題の浮上により、「食の安全」が揺らぐ中、信頼性確保には「第三者によるチェック体制」が重要な課題とされるのではないだろうか。

 国産牛肉については、既に約450万頭の牛の生産情報をデータベース化してあり、と畜時点でのサンプルと小売店から採るサンプルのDNA鑑定も盛り込み、03年度中に法律で義務化されるわけだが、この動きは、野菜、米、魚介類 など様々な分野まで広がりを見せている。




システム構築〜リスクコミュニケーションの重要性〜

 トレーサビリティーと言うと、消費者に生産情報が確認できるようにする、つまり、生産者の顔の見える商品を購入可能にするシステムという認識が一般的だが、実はトレーサビリティーには食に関するあらゆるリスクを管理するという大きな目的がある。
 製品にあらかじめ識別番号をつけ、仕入れから販売までのプロセスを流通のあらゆる段階で記録することにより、問題が発生した場合、製品の行き先と履歴情報の両方を追跡する統一的なシステムを構築することにより、リスクを管理する。
 この、食の基本的な安全を確保するためのシステムは、ある個人の業者が単独でできるようなことではなく、ある種、社会基盤として取り組むべき課題である。
国の支援、また生産から流通にかかわる一連の業者が連携しリスクコミュニケーションの具体的手法を確立すべきであろう。
 
情報開示〜重要なツール・インターネット〜

 それでは、消費者への情報開示という点では、どのような具体策が講じられるのだろうか。
真っ先にあげられるのがインターネットの活用である。
既に、個人、あるいは団体での取り組みも目立ってきているが、具体的にはこうだ。
まず、生産者がホームページ上にその食品の生産地、栽培方法、使用農薬の有無などを登録する。消費者や流通業者は、それらの情報を自由に検索、閲覧できるというものだ。例えばスーパーで手にした食品にホームページアドレスの記載があった場合、パソコンなどからアクセスし、その食品の生産者、生産地、農薬の使用量などを詳しく知ることができる。更には、画像や動画などを通して、実際の畑や出荷の様子、生産者のポリシーまでもが伺えるかもしれない。
誰もが自由に閲覧でき、情報を取得できるインターネットは、食品トレーサビリティーにおいて重要なツールになり得るだろう。
 
第三者のチェック〜その信頼性と価格への影響〜

 トレーサビリティーシステムを確立する過程において、もうひとつ重要な課題がある。 かつて世間を騒がした、偽装表示の問題だ。
どんなにシステムを確立しても、その情報が信頼性の低いものではなんら意味をなさない。第三者のチェック体制を整えることが急務になるだろう。
また、トレーサビリティーの導入による、価格への影響も避けては通れないだろう。
国、生産者や流通業者の連携、そして消費者がリスクと向き合うことによって、食品の真の安全を生み出すのではないだろうか。
 

2003年5月 食品安全基本法が成立

食品の安全性を確保するために、食品安全委員会の設置を柱とする「食品安全基本法」が参院本会で可決、成立した。
7月にも内閣府に設置される委員会は、食品の安全性、危険性についてリスク評価した結果を、農水厚労両省に勧告する権限を持つ。
消費者保護の視点で、そのリスクに対する判断を一元化し、各省庁は勧告に基づき、使用制限や輸入規制などを行なう。

 
2003年6月 トレーサビリティー導入の手引き完成

農林水産省は「食品のトレーサビリティーシステム導入の手引書」の作成を進めていたが(トレーサビリティー導入ガイドライン策定委員会:新山陽子委員長)、このほど3部構成での完成をみた。
第1部:「トレーサビリティーシステムの基本事項」
第2部:「システム導入の進め方」
第3部:「システム開発事例の構成」
この手引書は、食品業界が統一して利用できる指針として策定されている。
 
■農林水産省ホームページ
http://www.maff.go.jp/
 
■厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/
 
2004.02.02
 
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